XIIIHIV/HCV共感染者での抗HIV療法
7.HIV/HCV共感染症における肝線維化の評価
肝線維化の評価には肝生検が必要だが、侵襲的な検査であり、血液凝固異常の合併例や進展した肝疾患を有する例では合併症の可能性が高い。このため、非侵襲的な検査による肝線維化の評価が試みられてきた。APRI(aspartate transaminase to platelets ratio index)は肝硬変を除外するのには有用だが、肝硬変の診断には不十分である63)。これを改善したのがFIB-4(年齢×AST値/血小板数×ALT値1/2)である。
画像で肝線維化の評価を行う方法として広く行われているのがTransient Elastography(商品名Fibroscan)と呼ばれる超音波検査である。線維化のある組織では超音波の伝導速度が速いことを利用して行う検査であり、C型慢性肝炎では肝組織の線維化を反映するとされ、特に進展した肝線維化の診断には有用である。Transient ElastographyはHIV/HCV共感染症においても有用な検査と考えられる。検査が導入された当初は、約80%の確率で進展した線維化が予測できると報告されていた64)。APRIやFIB-4を含めた4つの指標をTransient Elastographyと比較した結果でもTransient Elastographyが最も優れており、HIV/HCV共感染症で進展した肝線維化を95%以上の確率で除外できると報告されている65)。非侵襲的検査のみで肝線維化を診断することには限界があるものの、信頼に足る成績が得られつつあると言えよう。また、HIV/HCV共感染症では非肝硬変状態でも門脈圧亢進症が認められることがしばしばあるが、この診断にもTransient Elastographyが有用であることが示されている66)。
現在Transient Elastgraphyと並び肝硬度診断で大きな役割を果たすようになっているのがMRIを用いた肝硬度測定である。Magnetic Resonance Elastography(MRE)と呼ばれる検査は高感度で肝線維化の診断が可能であり67)、同時に脂肪化の診断も可能である。HIV/HCV共感染者においてもその有用性が報告されている68)。