Iはじめに
抗HIV治療ガイドラインは、わが国におけるHIV診療を世界の標準レベルに維持することを目的に平成10年度に初めて発行された。その作成は、厚生労働科学研究(旧厚生科学研究)の一環として下記の研究班が担当し、年1回のアップデートを実施してきた。
- 平成10年度:
- 「我が国におけるHIV診療ガイドラインの開発に関する研究」班(岩本愛吉班長)
- 平成11年度:
- 「日本におけるHIV診療支援ネットワークの確立に関する研究」班(秋山昌範班長)
- 平成12〜14年度:
- 「HIV感染症の治療に関する研究」班(岡慎一班長)
- 平成15〜17年度:
- 「HIV感染症の医療体制の整備に関する研究」班(木村哲班長)
- 平成18〜20年度:
- 「服薬アドヒアランスの向上・維持に関する研究」班(白阪琢磨班長)
- 平成21年度~令和2年度:
- 厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業/エイズ対策政策研究事業「HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究」班(白阪琢磨班長)
令和3年度からは厚生労働行政推進調査事業費補助金エイズ対策政策研究事業「HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究」班(渡邊大班長)が本ガイドラインのアップデートを担当している。同研究班では、現場での具体的手順を提示する「HIV診療における外来チーム医療マニュアル」も担当しており、最新のエビデンスに基づいて科学的に適切な治療指針を提示する本ガイドラインと補完しあって、国内のHIV診療に役立ててもらえるよう意図した。
国内のHIV感染者総数は年々増加しており、もはや少数のエキスパートだけで治療を担える時代ではなくなってきている。一方、HIV感染症の治療は日進月歩であり、診療経験の少ない医師が個別にその進歩をフォローすることは容易ではない。本ガイドラインは、現場でHIV診療に当たられる先生方が熟読することにより治療方針の意思決定が出来るように配慮した。最新のエビデンスに基づくとともに、わが国の実状にも合った的確な指針を作成するというガイドラインの目的を達成するために、ご尽力いただいた改訂委員の先生方に感謝申し上げる。監修いただいた渡邊大班長にもあらためて深謝の意を表したい。
本ガイドラインが、わが国におけるHIV感染症診療の一助となるよう、委員一同で願っている。
<ガイドライン改訂委員(敬称略、アイウエオ順)>
- 遠藤 知之(北海道大学)
- 古西 満(奈良県立医科大学)
- 田中 瑞恵(国立国際医療研究センター病院)
- 塚田 訓久(国立病院機構東埼玉病院)
- 照屋 勝治(国立国際医療研究センター病院)
- 永井 英明(国立病院機構東京病院)
- 増田 純一(国立国際医療研究センター病院)
- 南 留美(国立病院機構九州医療センター)
- 村松 崇(東京医科大学)
- 四本美保子(東京医科大学)
- 四柳 宏(東京大学医科学研究所)
- 渡邊 大(国立病院機構大阪医療センター)
2024年3月
研究分担者 四本 美保子