抗HIV治療ガイドライン(2024年3月発行)

V初回治療に用いる抗HIV薬の選び方

6.わが国で実際に使用されている抗HIV薬の組み合わせ

 HIV診療の経験のある医師が実際にどのような薬剤を選択しているかについて、わが国の実態を紹介する。図V-2は、澤田らが毎年行っている「服薬援助のための基礎的調査」からのデータで、初回治療に処方された抗HIV薬の組み合わせを示している80)。ある程度まとまった症例数の処方状況として提示できる最新のものであるがこれすらも2023年3月までのデータであり、既に過去であることを認識して頂きたい。「ガイドライン」とは現段階で最も良いと思われる治療方針を示すもので、より良い治療法の開発や新しい副作用の懸念の出現により推奨薬剤は頻繁に変更されており、処方薬剤は時代によって大きな変動がある。一方において、ガイドラインにおける初回治療推奨薬が変わったとしても患者のアドヒアランスが良好でHIV RNAが抑制されており問題となる副作用も生じておらず患者が変更を希望しない場合には今までの治療を当面継続することは間違いではない。

図V-2 新規処方における組み合わせ頻度 2019~2023
2019年から2023年までの割合グラフ。2019年はn=397、2020年はn=420、2021年はn=448、2022年はn=313、2023年はn=279。
澤田ら「抗HIV療法と服薬援助の為の基礎的調査」(2023年 日本エイズ学会、抄録番号O32-1)より作成

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