抗HIV治療ガイドライン(2024年3月発行)

XI結核合併症例での抗HIV療法

6.潜在性結核感染症(Latent Tuberculosis Infection: LTBI)の治療

 米国ではHIV感染者に対しては全例に結核感染診断検査を行ない、陽性の場合は活動性結核を合併しているかどうかを精査し、活動性結核がない場合はLTBIの治療としてINH 300mg/日+RFP 600mg/日の3ヵ月間投与あるいはINH+リファペンチン(本邦未承認薬)週1回の12週間投与を推奨している9)(INHの6〜9ヵ月投与は代替療法の位置づけ)。LTBIの検査では、日本ではBCGの施行例が多く、HIV感染者におけるツベルクリン反応の評価は難しいので、インターフェロンγ遊離測定法(Interferon-Gamma Release Assay: IGRA)が普及している。現在、クオンティフェロン®-TBゴールドプラスとT-スポット® TBが使用されている。免疫機能が著しく低下した症例では陽性コントロールにも反応しなくなり判定不可例が出る可能性があるが、後者のほうが感度が高いという報告が多い。CD4が200/μL未満の症例では、結核感染診断検査の感度が低下するので、ARTによりCD4が200/μL以上になってから、検査をすべきであるとされている9)

 なお、日本ではHIV陽性者の初診時にルーチンとしてIGRAがどの程度行われているかについて、AIDS拠点病院にアンケート調査を行ったが、IGRAを行っている施設は回答のあった224施設中80施設(35.7%)と少なく、啓発が必要である20)

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