抗HIV治療ガイドライン(2024年3月発行)

VIウイルス学的抑制が長期に安定して得られている患者での薬剤変更

3.対象患者の絞り込み

 抗HIV治療の変更によりどのような恩恵が得られるのかを考慮して、対象患者を絞り込む。薬剤変更の理由として、1日の服用回数や内服する錠剤数を減らすことによる利便性の向上、食事の条件の排除、毒性の軽減や副作用の回避、薬物相互作用の予防もしくは回避、妊娠への影響、コストの軽減、薬剤耐性に対するバリア(耐性バリア)の強化などがあげられる。持効性注射剤への変更については、利便性の向上や飲み忘れがないことに対する安心感に加え、毎日の服薬に関連するスティグマやプライバシー、嚥下困難なども変更理由としてあげられる。患者や医師が、現在起こっている副作用に気付かないか、それを過小評価している可能性にも注意する。この場合は、治療変更後に副作用があったことを自覚することもある。変更に伴う利益が、新規の薬剤による新たな副作用の出現やウイルス学的治療失敗に伴う薬剤耐性獲得といった不利益を上回るかどうかを慎重に判断する。

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