抗HIV治療ガイドライン(2024年3月発行)

IX抗HIV薬の副作用

6.中枢神経症状、精神症状

 NNRTIおよびINSTIでは中枢神経症状、精神症状に注意する。

 NNRTIでは特にEFVによるめまい、悪夢、抑うつ症状75)など中枢神経系症状、精神症状が重要である。RPV、DORはEFVより精神系の有害事象が少ないことが報告されている76, 77)

 DHHSガイドラインでは、精神疾患系の既往のある患者においてINSTIを使用した際に、稀ではあるが不眠や鬱、自殺企図といった報告があると記載されている51)。特にDTGは国内外で中枢神経系の副作用が報告されている。Boerらによると、ABCとの併用時に特にDTGの継続率が低かったことが示されている78)。DTG投与時の中枢神経系副作用による中止は、開始後1年以内が92.2%とほとんどを占め79)、特に女性や高齢者(> 60歳)で高かったという結果が得られている80)。また、国内では矢倉らにより、代謝酵素であるUGT1A1における遺伝子多型とDTGの血中濃度の相関が示されている81)。BIC/TAF/FTCとDTG/ABC/3TCの比較試験ではBIC/TAF/FTCの方が中枢神経系の副作用が少なかったと報告されている82)。いずれも限られた範囲内での報告であり、明確な要因もわかっていないためINSTIと中枢神経系の副作用の関連については、今後さらなるデータの蓄積が必要である。

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