抗HIV治療ガイドライン(2024年3月発行)

XIIIHIV/HCV共感染者での抗HIV療法

16.DAAによるHCV排除の肝臓以外への影響

 DAAによるHCV排除は炎症マーカー改善145)、さらには骨密度の改善62)、血管の炎症の改善146)などHCVの肝外徴候にも効果が認められる。ただし排除後も炎症は残存する147)。HCVの排除が容易に行えることで感染のハイリスク行為を行いやすいことも指摘されている。また、HCVが容易に排除可能になったことで生命予後を規定する因子がHCVから他部位の癌など肝臓以外に変化してきており、HCV単独感染者と同じ方向に変化してきている148)。HIV/HCV共感染者に対してDAA治療を行った後に活性化CD4細胞は減少するが149)、DAA治療を行った後もメモリーT細胞の活性化、それによるサイトカイン応答の低下などの免疫老化は持続する150)ため、肝臓以外の発癌リスクも高い151)。HIV/HCV共感染者に多いのは腎臓、肺、および炎症関連の癌であると報告されている152)これらの癌への罹患リスクはHCV排除後も高いままである153)

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