VIII抗HIV薬の作用機序と薬物動態
2.抗HIV薬の投与量・投与方法
抗HIV薬は単剤投与を行わず、併用療法が原則である(例外:母子感染予防の際のAZT投与など)。表VIII-1-1からVIII-1-7に示した用法・用量は成人に併用療法を行う際の標準的なものであるが、腎機能障害・肝機能障害のある場合には減量が必要となる場合がある。PI 2剤あるいはPIとNNRTIの併用を行う場合、組み合わせによっては相互作用のため投与量の調節が必要となる。特にrtvは他のPIの代謝を遅らせる作用が強く、rtvを併用する事によりPIの1日1回または2回投与が可能となる。標準的な経口剤以外に、薬剤によっては液状製剤があり、小児への投与の際や意識障害時の経管投与にも有用である。本邦で承認されている液剤はLPV/rtv合剤のみである。治療上、国内承認薬以外の剤形の製剤が必要な場合には、ジドブジン注射薬およびシロップ、ラミブジン液剤、アバカビル液剤、ネビラピン液剤、ラルテグラビル液剤、ドルテグラビル内用懸濁錠(5mg/T)が、厚生労働省エイズ治療薬研究班(https://www.aidsdrugmhlw.jp/aidsdrugmhlw/portal)から入手可能である。
CAB、RPVの持効性注射剤は、本邦初の抗HIV薬の注射製剤である。CAB、RPVの持効性注射剤は、経口製剤を1ヵ月間(少なくとも28日間)投与し、各薬剤の忍容性を確認した後に導入する。持効性注射剤は1ヵ月、2ヵ月投与で投与量が異なるため注意が必要である。持効性注射剤は、臀部の外側上部に筋注し、CABとRPVは同日に臀部の筋肉の異なる部位(左右異なる側又は2cm以上間隔をあける)に投与する。投与の際は21〜23ゲージの注射針を用いてZ-track法にて投与する。注射針の長さは、BMIを考慮し、臀部の筋肉に到達するものを使用することが推奨される。米国では23G・3.8cmの長さの注射針が薬剤と一緒に梱包されている。BMI>30で注射針が短いと血中濃度が低下するため、DHHSガイドラインでは5cmの長さの注射針を用いることが推奨されている8, 9)。また、投与予定日の7日後までに持効性注射剤を投与できないことが予定されている場合は、代替としてCABとRPVの経口剤を投与する(最大2ヵ月間まで)。
LENは経口剤による2週間の負荷投与で忍容性を確認後、皮下注(腹部)投与に移行し、その後は6ヵ月に1回皮下投与する。LENは多剤耐性HIV-1感染症に対して使用し、投与の際は必ず他の抗HIV薬と併用する。
表VIII-1-1 抗HIV薬の用法・用量
核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)
ヌクレオシド系
商品名 | レトロビル |
---|---|
一般名 | ジドブジン |
略名 | AZT(ZDV) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 100mg |
用法・用量 | 500~600mgを2~6回に分けて投与 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | 60% |
血漿中半減期 | 1.1h |
細胞内半減期 | 7h |
CYPへの影響 | なし |
備考 | 「重度」腎障害(Ccr<15mL/min)の場合、または透析実施後に投与する場合:100mg1日3回または300mg1日1回 |
商品名 | エピビル |
---|---|
一般名 | ラミブジン |
略名 | 3TC |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 150mg 300mg |
用法・用量 | 300mg/分1または300mg/分2 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | 86% |
血漿中半減期 | 5-7h |
細胞内半減期 | 18-22h |
CYPへの影響 | なし |
備考 | Ccr(mL/min)30-49:150mg24時間ごと、15-29:150mgを1回その後100mgを24時間ごと、5-14:150mgを1回その後50mgを24時間ごと、<5:50mgを1回その後25mgを24時間ごと、透析日に投与する場合は透析後投与 |
商品名 | ザイアジェン |
---|---|
一般名 | アバカビル |
略名 | ABC |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 300mg |
用法・用量 | 600mg/分2 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | 83% |
血漿中半減期 | 1.5h |
細胞内半減期 | 12-26h |
CYPへの影響 | なし |
備考 | 腎機能障害の場合:用量調節は不要 |
商品名 | コンビビル |
---|---|
一般名 | ジドブジン |
略名 | AZT/3TC(CBV) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | AZT 300mg 3TC 150mg |
用法・用量 | 2錠/分2 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | ー |
細胞内半減期 | ー |
CYPへの影響 | なし |
備考 | Ccr<30mL/min:推奨しない |
商品名 | エプジコム |
---|---|
一般名 | アバカビル+ラミブジン |
略名 | ABC/3TC(EPZ) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | ABC 600mg 3TC 300mg |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | ー |
細胞内半減期 | ー |
CYPへの影響 | なし |
備考 | Ccr<30mL/min:推奨しない |
商品名 | ラバミコム |
---|---|
一般名 | アバカビル+ラミブジン |
略名 | ABC/3TC(EPZ) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | ABC 600mg 3TC 300mg |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | ー |
細胞内半減期 | ー |
CYPへの影響 | なし |
備考 | Ccr<30mL/min:推奨しない。エプジコム®の後発医薬品 |
ヌクレオチド系
商品名 | ビリアード |
---|---|
一般名 | テノホビルジソプロキシルフマル酸塩 |
略名 | TDF |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 300mg |
用法・用量 | 300mg/分1 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | 空腹時25% 高脂肪食摂取時39% |
血漿中半減期 | 17h |
細胞内半減期 | >60h |
CYPへの影響 | なし |
備考 | Ccr(mL/min)30-49:300mg48時間ごと、10-29:300mg週2回、末期腎疾患:300mg7日ごと、透析日に投与する場合は透析後投与 |
商品名 | ツルバダ |
---|---|
一般名 | テノホビルジソプロキシルフマル酸塩+エムトリシタビン |
略名 | TDF/FTC(TVD) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | TDF 300mg FTC 200mg |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | ー |
細胞内半減期 | ー |
CYPへの影響 | なし |
備考 | Ccr(mL/min)30-49:1錠48時間ごと、<30:推奨しない |
商品名 | デシコビ |
---|---|
一般名 | テノホビルアラフェナミド+エムトリシタビン |
略名 | TAF/FTC(DVY) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
LT HT |
含有量 | LT: TAF 10mg/FTC 200mg HT: TAF 25mg/FTC 200mg |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | ー |
細胞内半減期 | ー |
CYPへの影響 | CYP3Aの基質 |
備考 | リトナビル又はコビシスタットと併用する場合(LT錠):TAF 10mg/FTC 200mg リトナビル又はコビシスタットと併用しない場合(HT錠):TAF 25mg/FTC 200mg 投与開始時:Ccr≧30mL/min以上であることを確認 |
「-」:No Data
表VIII-1-2 抗HIV薬の用法・用量
非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)
非ヌクレオシド系
商品名 | ビラミューン |
---|---|
一般名 | ネビラピン |
略名 | NVP |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 200mg |
用法・用量 | 400mg/分2 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | >90% |
血漿中半減期 | 25-30h |
細胞内半減期 | ー |
CYPへの影響 | CYP450の基質、3A誘導 |
備考 | 中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)、重度の肝障害患者(Child-Pugh分類C)には本剤を投与しない |
商品名 | ピフェルトロ |
---|---|
一般名 | ドラビリン |
略名 | DOR |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 100mg |
用法・用量 | 100mg/分1 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | 64% |
血漿中半減期 | 15h |
細胞内半減期 | ー |
CYPへの影響 | CYP3Aの基質 |
備考 | リファブチンと併用投与する場合は、100mgを約12時間の間隔を空けて1日2回に増量する。なお、リファブチンの併用を中止した場合は、100mgを1日1回に減量する。 Child-Pugh分類AまたはBの場合、用量調節不要 Child-Pugh分類Cの患者に関する検討は行われていない |
商品名 | エジュラント |
---|---|
一般名 | リルピビリン |
略名 | RPV |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 25mg |
用法・用量 | 経口 25mg/分1 |
食事の影響 | 食中・食直後 |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | 43h |
細胞内半減期 | ー |
CYPへの影響 | CYP3A4の基質 |
備考 | 本剤75mgを空腹時に単回投与したときのAUCは、食直後と比較して約40%低下 高蛋白栄養飲料摂取後に本剤75mgを空腹時に単回投与したときのAUCは、食直後(標準食)と比較して50%低下 胃内のpH上昇により吸収が低下するため、プロトンポンプインヒビターは併用禁忌、H2受容体拮抗剤は併用注意 Child-Pugh分類AまたはBの場合、用量調節不要 Child-Pugh分類Cの患者に関する検討は行われていない |
商品名 | リカムビス |
---|---|
一般名 | リルピビリン |
略名 | RPV |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
600mg 900mg |
含有量 | 600mg/2mL 900mg/3mL |
用法・用量 | 筋注 〈1ヵ月間隔投与〉 初回900mg、2回目以降は1ヵ月毎に600mg筋注 〈2ヵ月間隔投与〉 初回900mg、2回目は1ヵ月後に900mg、以降は2ヵ月毎に900mg筋注 |
食事の影響 | ー |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | 60.7days(600mg) |
細胞内半減期 | ー |
CYPへの影響 | CYP3A4の基質 |
備考 | カボテグラビルと併用すること ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制(HIV-1 RNA<50copies/mL)、リルピビリン及びカボテグラビルに対する耐性関連変異を持たず、切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用 注射剤切替え前に、経口剤のリルピビリンとカボテグラビルを1ヵ月間(少なくとも28日間)を目安に経口投与し、忍容性を確認 Child-Pugh分類AまたはBの場合、用量調節不要 Child-Pugh分類Cの患者に関する検討は行われていない |
「-」:No Data
表VIII-1-3 抗HIV薬の用法・用量
プロテアーゼ阻害剤(PI)
商品名 | ノービア |
---|---|
一般名 | リトナビル |
略名 | rtv |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 100mg |
用法・用量 | 1200mg/分2 |
食事の影響 | 食後 |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | 3-5h |
代謝・排泄 | 糞中:86.4% 尿中:11.3% |
CYPへの影響 | CYP3A4>2D6の基質 強力な3A4、2D6の阻害作用あり |
備考 | 平均的な食事(857kcal、カロリーの37%が脂肪由来)や高脂肪食(907kcal、カロリーの52%が脂肪由来)の摂取後にリトナビルの錠剤100mgを単回投与したところ、空腹時投与と比較してリトナビルのAUCとCmaxは平均20~23%低下した 副作用を軽減するため、食後の服薬が望ましい 肝機能障害患者に対する投与については他のPIの項を参照 |
商品名 | カレトラ |
---|---|
一般名 | ロピナビル+リトナビル |
略名 | LPV/rtv |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | LPV 200mg/rtv 50mg |
用法・用量 | 4錠/分2 4錠/分1 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | 5-6h |
代謝・排泄 | 糞中:82.6% 尿中:10.4% |
CYPへの影響 | CYP3A4の阻害、基質 |
備考 | 本剤の単回投与における薬物動態を食後投与(高脂肪食、872kcal、56%が脂肪由来)と空腹時投与とで比較したところ、CmaxおよびAUC∞で有意差は認められなかった 肝機能障害患者に対する推奨用量なし 慎重に投与 |
商品名 | プリジスタ |
---|---|
一般名 | ダルナビル |
略名 | DRV |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 600mg |
用法・用量 | DRV1200mg |
食事の影響 | 食中 食直後 |
生物学的利用率 | DRV600mg:37% DRV600mg |
血漿中半減期 | 15h(rtv併用時) |
代謝・排泄 | 糞中:79.5% 尿中:13.9% |
CYPへの影響 | CYP3A4の阻害、基質 |
備考 | DRV/rtv:400/100mgを食事と共に投与したときのDRVのCmax及びAUCは、空腹時投与と比較して約30%増加 検討した食事の範囲内(総カロリーは240~928Kcal)では、食事の内容によるDRVのCmax及びAUCに差はみられなかった 軽度から中等度の肝機能障害がある場合は用量調節不要 高度な肝機能障害がある場合は投与しない |
商品名 | プレジコビックス |
---|---|
一般名 | ダルナビル+コビシスタット |
略名 | DRV/cobi(PCX) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | DRV 800mg/ |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | 食中 食直後 |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | 6.7h(DRV、単回投与時) |
代謝・排泄 | DRV:同上 cobi: 糞中:86.2% 尿中:8.2% |
CYPへの影響 | DRV:CYP3A4の阻害,基質 cobi:3A 2D6の基質、阻害作用 |
備考 | 高脂肪食の食事と共に投与した結果、ダルナビルの曝露量(AUC∞)は、空腹時投与と比較して1.7倍増加し、コビシスタットの曝露量(AUC∞)は、空腹時投与と同程度であった なお、ダルナビルの曝露量(AUC∞)には食事の内容による影響は認められなかった 軽度及び中等度肝障害患者に本剤を投与するときには本剤の用量を調整する必要はないが、重度肝機能障害には慎重に投与 |
「-」:No Data
表VIII-1-4 抗HIV薬の用法・用量
インテグラーゼ阻害剤(INSTI)
商品名 | アイセントレス |
---|---|
一般名 | ラルテグラビル |
略名 | RAL |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 400mg 600mg |
用法・用量 | 800mg/分2 1200mg/分1 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | -9h |
代謝・排泄 | UGT1A1 糞中:51% 尿中:32% |
CYPへの影響 | なし |
備考 | 本剤400mgを高脂肪食摂取後に単回投与したところ、空腹時投与に比べて本剤のAUCは約19%増加した。高脂肪食摂取により吸収速度は遅くなり、Cmaxは約34%減少したが、C12hrは8.5倍増加し、Tmaxは遅延した 肝・腎機能障害のある患者に投与する場合、用量調節不要 リファンピシンを併用する場合、日本の添付文書では併用注意(参考:DHHSガイドラインでは本剤を1600mg/分2に増量することが推奨されている) |
商品名 | テビケイ |
---|---|
一般名 | ドルテグラビル |
略名 | DTG |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 50mg |
用法・用量 | 50mg/分1 100mg/分2 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | 14-15h |
代謝・排泄 | UGT1A1 糞中:53.1% 尿中:31.6% |
CYPへの影響 | 影響なし、僅かにCYP3Aで代謝される |
備考 | 低、中及び高脂肪食(それぞれ7%脂肪/300kcal、30%脂肪/600kcal及び53%脂肪/870kcal)を摂取後に本剤50mgを単回経口投与した場合、血漿中ドルテグラビルのAUC0-infは絶食下と比較してそれぞれ33、41及び66%増加し、Cmaxはそれぞれ46、52及び67%増加した 未治療患者、インテグラーゼ阻害剤以外の抗HIV薬による治療経験のある患者:50mg/分1 インテグラーゼ阻害剤に対する耐性を有する患者:100mg/分2 Child-Pugh分類AまたはBの場合、用量調節不要。 Child-Pugh分類Cの患者に関する検討は行われていない |
商品名 | ボカブリア | |
---|---|---|
一般名 | カボテグラビル | |
略名 | CAB | |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
400mg 600mg |
|
含有量 | 30mg | 400mg/2mL 600mg/3mL |
用法・用量 | 経口 30mg/分1 |
筋注 〈1ヵ月間隔投与〉 初回600mg、2回目以降は1ヵ月毎に400mg筋注 〈2ヵ月間隔投与〉 初回600mg、2回目は1ヵ月後に600mg、以降は2ヵ月毎に600mg筋注 |
食事の影響 | なし | ー |
生物学的利用率 | 76% | ー |
血漿中半減期 | 37-41h | 38.3days(400mg) |
代謝・排泄 | UGT1A1:67% UGT1A9:33% 糞中:59% 尿中:27% |
UGT1A1:67% UGT1A9:33% |
CYPへの影響 | 1%未満 | 1%未満 |
備考 | リルピビリンと併用すること 経口剤:食後(高脂肪食:53%脂肪/870kcal)にCAB 30mgを単回経口投与したとき、空腹時と比べて血漿中CABのAUC(0-t)及びCmaxはいずれも14%増加 注射剤:ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制(HIV-1 RNA<50copies/mL)、リルピビリン及びカボテグラビルに対する耐性関連変異を持たず、切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用 注射剤切替え前に、経口剤のリルピビリンとカボテグラビルを1ヵ月間(少なくとも28日間)を目安に経口投与し、忍容性を確認 Child-Pugh分類Cの患者に関する検討は行われていない |
「-」:No Data
表VIII-1-5 抗HIV薬の用法・用量
侵入阻害剤(CCR5阻害剤)
商品名 | シーエルセントリ |
---|---|
一般名 | マラビロク |
略名 | MVC |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | 150mg |
用法・用量 | 600mg/分2 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | 23-33% |
血漿中半減期 | 14-18h |
代謝・排泄 | 糞中:76% 尿中:20% |
CYPへの影響 | CYP3A4の基質 |
備考 | MVCはCYP3A4とPgPの基質であり、併用する薬剤によって本剤の薬物動態が変化する可能性がある。CYP3A阻害剤又はCYP3A誘導剤と併用する場合、MVCの用量調整を行う 本剤はin vitroにおいて、CYP3A4の活性を阻害・誘導せず、PgPを阻害する 本剤300mgを高脂肪食と共に投与したとき、Cmax及びAUCは33%低下した Ccr<80mL/minの場合
|
「-」:No Data
表VIII-1-6 抗HIV薬の用法・用量
カプシド阻害剤(CAI)
商品名 | シュンレンカ | |
---|---|---|
一般名 | レナカパビル | |
略名 | LEN | |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
||
含有量 | 300mg | 463.5mg |
用法・用量 | 経口 投与1日目及び2日目に2錠、8日目に1錠 |
皮下注 LEN経口剤の投与開始後15日目に927mg投与 以降は、927mgを6ヵ月に1回投与 |
食事の影響 | なし | ー |
生物学的利用率 | 6-10% | ー |
血漿中半減期 | 10days | 81days |
代謝・排泄 | CYP3A、UGT1A1 糞中:76% 尿中:0.2% |
|
CYPへの影響 | CYP3A、OATP1B1の阻害 | |
備考 | 必ず他の抗HIV薬と併用すること 経口剤は注射剤の投与に先立つ導入としてのみ使用 過去の治療において、本剤を含まない既存の抗レトロウイルス療法による適切な治療を行ってもウイルス学的抑制が得られなかった患者、薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を実施し、本剤を含まない複数の抗HIV薬に耐性を示す患者、LEN皮下注製剤の投与の前にLEN経口剤を投与し、LENに対する忍容性が確認された患者に使用 Ccr<15mL/min~30mL/minにLEN300mgを単回経口投与したとき、AUC及びCmaxは、腎機能正常被験者と比べて、それぞれ84%及び162%増加 中等度肝機能障害(Child-Pugh分類B)にLEN300mgを単回経口投与したとき、AUC及びCmaxは、肝機能正常被験者と比べて、それぞれ47%及び161%増加 |
「-」:No Data
表VIII-1-7 抗HIV薬の用法・用量
1日1回1錠剤(STR)
INSTI + 2NRTI
商品名 | トリーメク |
---|---|
一般名 | ドルテグラビル +アバカビル +ラミブジン |
略名 | DTG/ABC/3TC (TRI) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | DTG 50mg/ ABC 600mg/ 3TC 300mg |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | 各薬剤を参照 |
血漿中半減期 | 各薬剤を参照 |
代謝・排泄 | 各薬剤を参照 |
CYPへの影響 | CYP3Aの基質(僅か) |
備考 | Ccr<30mL/minの場合は個別の製剤を用いる リファンピシンを併用する場合はドルテグラビル製剤を本剤投与12時間後に50mg1日1回を併用 |
商品名 | ゲンボイヤ |
---|---|
一般名 | エルビテグラビル +コビシスタット +テノホビルアラフェナミド +エムトリシタビン |
略名 | EVG/cobi/TAF/FTC (GEN) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | EVG 150mg/ cobi 150mg/ TAF 10mg/ FTC 200mg |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | 食後 |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | ー |
代謝・排泄 | ー |
CYPへの影響 | TAF:CYP3Aの基質 EVG:CYP3Aの基質、2C9に対する弱い誘導作用 cobi:3A、2D6の基質、阻害作用 |
備考 | 投与開始時:Ccr≧30mL/minであることを確認 投与開始後:Ccr<30mL/minに低下した場合は投与の中止を考慮 |
商品名 | ビクタルビ |
---|---|
一般名 | ビクテグラビル +テノホビルアラフェナミド +エムトリシタビン |
略名 | BIC/TAF/FTC (BVY) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | BIC 50mg/ TAF 25mg/ FTC 200mg |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | ー |
血漿中半減期 | ー |
代謝・排泄 | ー |
CYPへの影響 | BIC:CYP3AおよびUGT1A1の基質 |
備考 | 投与開始時:Ccr≧30mL/minであることを確認 投与開始後:Ccr<30mL/minに低下した場合は投与中止 |
INSTI + 1NRTI(2DR)
商品名 | ドウベイト |
---|---|
一般名 | ドルテグラビル +ラミブジン |
略名 | DTG/3TC |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | DTG 50mg/ 3TC 300mg |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | なし |
生物学的利用率 | 各薬剤を参照 |
血漿中半減期 | 各薬剤を参照 |
代謝・排泄 | 各薬剤を参照 |
CYPへの影響 | 3TC影響なし DTG僅かにCYP3Aで代謝される |
備考 | Ccr<30mL/min:推奨しない |
INSTI + NNRTI(2DR)
商品名 | ジャルカ |
---|---|
一般名 | ドルテグラビル +リルピビリン |
略名 | DTG/RPV |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | DTG 50mg/ RPV 25mg |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | 食後 |
生物学的利用率 | 各薬剤を参照 |
血漿中半減期 | 各薬剤を参照 |
代謝・排泄 | 各薬剤を参照 |
CYPへの影響 | RPV:CYP3A4の基質 DTG:CYP3Aの基質(僅か) |
備考 | リファブチン併用時を除き他の抗HIV薬と併用しない リファブチン併用時にはリルピビリン製剤を併用する |
NNRTI + 2NRTI
商品名 | オデフシィ |
---|---|
一般名 | リルピビリン +テノホビルアラフェナミド +エムトリシタビン |
略名 | RPV/TAF/FTC (ODF) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
|
含有量 | RPV 25mg/ TAF 25mg/ FTC 200mg |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | 食後 |
生物学的利用率 | 各薬剤を参照 |
血漿中半減期 | 各薬剤を参照 |
代謝・排泄 | 各薬剤を参照 |
CYPへの影響 | RPV:CYP3A4の基質 |
備考 | 投与開始時:Ccr≧30mL/minであることを確認 投与開始後:Ccr<30mL/minに低下した場合は投与中止 |
PI + 2NRTI
商品名 | シムツーザ |
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一般名 | ダルナビル +コビシスタット +テノホビルアラフェナミド +エムトリシタビン |
略名 | DRV/cobi/TAF/FTC (SMT) |
製剤写真 注)実物のサイズ比は異なる |
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含有量 | DRV 800mg/ cobi 150mg/ TAF 10mg/ FTC 200mg |
用法・用量 | 1錠/分1 |
食事の影響 | 食中 食直後 |
生物学的利用率 | 各薬剤を参照 |
血漿中半減期 | 各薬剤を参照 |
代謝・排泄 | 各薬剤を参照 |
CYPへの影響 | DRV:CYP3A4の阻害、基質 cobi:3A、2D6の基質、阻害作用 |
備考 | 投与開始時:Ccr≧30mL/minであることを確認 投与開始後:Ccr<30mL/minに低下した場合は投与中止 |
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