抗HIV治療ガイドライン(2023年3月発行)

XVI医療従事者におけるHIVの曝露対策

10.HIV曝露後の経過観察

 曝露後の検査は(1)曝露時ベースラインの検査、(2)曝露後6週目、(3)曝露後12週目、(4)曝露後6ヵ月目、が推奨される。検査の内容はHIVスクリーニング検査とともに、HIV以外の他の血液媒介感染症の発症も念頭において、CBC・腎機能検査・肝機能検査を行う事が推奨される。HIV検査は、曝露からの時間に関係なく急性HIV感染症の症状が認められた場合にも施行されるべきである。

 曝露後予防内服を行った場合には、薬剤の有害事象評価のために、内服開始後2週時点での血液検査を症例に応じて考慮する。内服中に体調変化がある場合にも血液検査の実施を考慮すべきである。

 第4世代HIV抗原/抗体(Ag/Ab)検査は、従来の第3世代HIV抗体検査より早くHIV感染を検出することができる。HIVスクリーニング検査に第4世代HIV抗原/抗体(Ag/Ab)検査が使用されていることが確実であれば、2013年に改訂されたCDCガイドラインは(1)曝露時ベースライン、(2)曝露後6週目、(3)曝露後4ヵ月目に検査を行い、結果が陰性であればフォローアップを中止して良いとしている。なお、米国ニューヨーク州の職業的HIV曝露後対応のガイドラインでは「曝露後の経過観察は12週までで6ヵ月後の検査は不必要」と記載されている11)。ただし、HIVとHCVに重複感染した患者から曝露後HCVに罹患した医療スタッフの場合には、より長期の経過観察(例えば12ヵ月)が推奨されている 6)

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