抗HIV治療ガイドライン(2023年3月発行)

IX抗HIV薬の副作用

10.その他注意すべき薬剤について

 持効性注射製剤CAB+RPVでは77〜83%に注射部位反応(疼痛、結節、硬結,腫脹等)を認めたが99%がgrade1〜2であった。症状持続期間の中央値は3日、症状出現の頻度は経過とともに徐々に低下し投与開始48週以降、20%前後で経過している114, 115)

 LPV/rtvは、頻度不明であるが、徐脈性不整脈(洞徐脈、洞停止、房室ブロック)が発現することが報告されている116)

 スルホンアミド基を有するDRVの使用においては、スルホンアミド系薬剤(例えばST合剤等)に過敏症の既往歴のある患者で交叉過敏症があらわれる可能性があり注意が必要である。

 RAL、DTG投与例では、クレアチニンキナーゼ上昇、ミオパチー、横紋筋融解症が報告されている 35, 117, 118)。急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には直ちに投与を中止することが必要となる。

 ATV投与では胆石症の報告もあり、腎結石との関連が報告されている119, 120)

 ボツワナにおける観察研究から得られたデータにより受胎時にDTGを内服していた女性において出生異常(神経管欠損)のリスクが高まる可能性 121)が2018年に報告されたが、最終的にはDTG以外の抗HIV薬を内服していた場合と比較してやや高率であるものの統計学的有意差がないという結論に達した122-124)。DHHSでは挙児希望のある場合を含んだすべての時期の妊婦にDTGを推奨している。EACSでは妊娠6週以内では議論されるべきとしている 56, 125)

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