抗HIV治療ガイドライン(2022年3月発行)

XVI医療従事者におけるHIVの曝露対策

4.抗HIV薬の予防内服開始について

 2013年の米国CDCガイドラインは、HIV感染のリスクが高い場合には曝露後に抗HIV薬の多剤併用投与を開始し、4週間(28日間)は予防内服を継続することを推奨している6)。HIV曝露後の抗HIV薬内服を実施すべきか否かについては、それぞれの事例について感染成立のリスクを考慮しつつ、専門医と相談の上で最終的には曝露が決定する権利を有する。

 現在、曝露後の予防内服は労災保険の保険給付として認められるため10)、曝露の記録を文書で残すことは非常に重要である。院内感染対策マニュアルにはその流れも含まれていなければならない。

 曝露事象は時間外に発生する場合も多く、その場合には救急外来もしくは当直医師が曝露後予防の抗HIV薬を開始する場合も多い。各医療機関のマニュアルには時間外の対応も含まれていなければならない。特に重要な事項は、そのような場合にも曝露後予防内服開始に遅延がないよう準備されておくことである。資料1はそのような場合に、救急科医師、当直医師が緊急対応し、平日日中の感染症外来につなげるための一案である。これを参考に、各施設に対応可能なマニュアルを作成しておく事が望ましい。

資料1 医療従事者PEPフローチャート(救急科、夜間当直者用)
当院職員
□ HIV患者由来の体液曝露(針刺し、粘膜曝露)である事を確認。
□ 事故概要、PEP開始について診療録に記載。
□ 抗HIV薬を院内処方する。
デシコビ配合錠HT1錠1日1回 +アイセントレス400mg 1日2回
(平日、感染症科外来日までの日数分)
他院職員
□ HIV患者由来の体液曝露(針刺し、粘膜曝露)である事を確認。
□ 事故概要、PEP開始について診療録に記載。
□ 抗HIV薬を院内処方する。
デシコビ配合錠HT1錠1日1回 +アイセントレス400mg 1日2回
(平日感染症科外来日までの日数分)
□ 全額自費。会計窓口で「労災」である旨を伝えるよう説明。

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