XVI医療従事者におけるHIVの曝露対策
4.曝露事象からPEP開始までの時間的猶予
理論的に、最大の予防効果を得るためには曝露から予防内服までの時間は出来るだけ短くすべきである。明確なエビデンスは存在しないが、曝露後から72時間以上が経過した場合には、曝露後予防の効果はほぼ期待できない可能性が高いと考えられている。
理論的に予防内服は「可能な限り速やかに」行う必要がある。したがって、先述のように夜間や週末を含めたすべての時間帯で、速やかな曝露後予防内服が対応可能な体制を確立する必要がある。
一方、曝露後72時間以降では予防内服の有用性が期待できない可能性があるが、HIV伝播のリスクが高く、かつ被曝露者が予防内服を希望する場合には曝露後72時間以降であっても予防内服開始を考慮してよい7)。
PEP適応の判断が難しく、かつ専門家への相談がすぐに出来ない場合でも、PEP開始のタイミングが遅くならないよう被曝露者の同意後に速やかに1回目の内服を実施すべきである。その後に2回目以降の内服を継続するかどうかを専門家に相談する。