IX抗HIV薬の副作用
6.中枢神経症状、精神症状
NNRTIおよびINSTIでは中枢神経症状、精神症状に注意する。
NNRTIでは特にEFV(販売中止)によるめまい、悪夢、抑うつ症状などが問題となっていたがRPV、DORはEFVより精神系の有害事象が少ないことが報告されている72, 73)。
INSTIでは不眠、異夢、睡眠障害の他、特に精神疾患系の既往のある患者において、頻度は高くないが鬱、自殺企図といった報告があると記載されている51)。DTGは国内外で中枢神経系の副作用が報告されている。Boerらによると、ABCとの併用時に特にDTGの継続率が低かったことが示されている74)。DTG投与時の中枢神経系副作用による中止は、開始後1年以内が92.2%とほとんどを占め75)、特に女性や高齢者(> 60歳)で高かったという結果が得られている76)。また、国内では矢倉らにより、代謝酵素であるUGT1A1における遺伝子多型とDTGの血中濃度の相関が示されている77)。BIC/TAF/FTCとDTG/ABC/3TCの比較試験ではBIC/TAF/FTCの方が中枢神経系の副作用が少なかったと報告されている78)。いずれも限られた範囲内での報告であり、明確な要因もわかっていないためINSTIと中枢神経系の副作用の関連については、今後さらなるデータの蓄積が必要である。