XIIHIV/HBV共感染者での抗HIV療法
5.HIV/HBV共感染における治療薬の選択
HIVまたはHBV感染症に対する治療適応がある場合には2剤以上の抗HBV活性を有する多剤併用抗HIV療法を始めることとなる(表XII-2)7-9)。テノホビル(TDFもしくはTAF)と、エムトリシタビン(FTC)もしくはラミブジン(3TC)の2剤を含むARTレジメンで治療することが推奨される(AI)7, 8)。抗HBV作用薬が3TCもしくはFTCだけの治療は推奨されない(AII)7, 8)。また、ARTレジメンを変更する際は抗HBV活性のある薬剤を継続するべきである(AII)7, 8)。テノホビルはwild-typeのHBVやラミブジン耐性HBVに対しても有効である7, 8)。TAFはTDFよりも腎・骨への悪影響が少ないといわれ、HIV/HBV共感染例のSwitch studyではTDFを含むレジメンからEVG/cobi/TAF/FTCに変更してもHBV抑制は維持・達成され推算糸球体濾過量(eGFR)や骨マーカーは改善した14)。HIV/HBV共感染例で初回治療にTAF/FTC/BICとTDF+FTC+DTG の2群でHBV関連マーカーの経過をみたランダム化比較試験(ALLIANCE試験)では、96週の観察期間におけるHBe抗原のセロクリアランス率およびセロコンバージョン率はTAF 群で有意に高かったことが示されている15)。
表XII-2 HIV/HBV共感染患者に対するHIV治療の考え方
治療薬 | |
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推奨 |
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代替 |
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