抗HIV治療ガイドライン(2023年3月発行)

V初回治療に用いる抗HIV薬の選び方

7.妊娠の可能性のある女性及び妊婦に対する抗HIV薬の選択について

 妊娠の可能性のある女性に抗HIV薬を開始する前には、挙児希望の有無と妊娠の有無について確認する。抗HIV薬開始前には、本人が決定できるようにカウンセリングが適切に提供されるべきである79)。HIV陽性の全ての妊婦は可及的速やかに抗HIV薬を開始すべきである3)母子感染予防に関して「HIV感染者の妊娠・出産・予後に関するコホート調査を含む疫学研究と情報の普及啓発方法の開発ならびに診療体制の整備と均てん化のための研究」班発行の「HIV母子感染予防対策マニュアル」第9版(https://www.hivboshi.org/manual/manual/manual9.pdf)に詳述されている。

  • DTGについて
    受胎時にDTGを内服していた女性において出生異常(神経管欠損)のリスクが高まる可能性80)が2018年に報告され、最終的にはDTG以外の抗HIV薬を内服していた場合と比較してやや高率であるものの統計学的有意差がないという結論に達した81)。DHHSでは挙児希望のある場合を含んだすべての時期の妊婦にDTGを推奨している79)。EACSでは妊娠6週以内では議論されるべきとしている4, 54)
  • TAFについて
    DHHSではTAFを推奨薬として位置付けている79)。EACSでは妊娠14週以降でTAFの投与を推奨している4, 54)
  • 妊婦において推奨されるのはABC/3TC、TDF/FTC、TAF/FTC(上記参照)にDTG(上記参照)、 DRV+rtv(1日2回投与)、薬物相互作用のリスクが高い場合にはRAL(400mg1日2回投与)を組み合わせた治療である4, 79)

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